中公文庫プレミアム 太平洋戦争の「失敗の本質」に迫る2冊の新刊
編集者Fです。
この春、中公文庫プレミアムで刊行された2冊の新刊について、ご案内します。
能村次郎『慟哭の海 戦艦大和死闘の記録』(4月25日刊)
戦艦大和の副長として、昭和19年のレイテ沖海戦、そして20年の「天一号作戦」に参加した能村元海軍大佐の体験記録。半世紀ぶりの復刊です。
世界最高水準の技術を誇りながら、二度実戦に参加しただけで、航空機によって撃沈され、ピラミッドや万里の長城と並ぶ「世界三大無用の長物」として戦後貶められてしまった「大和」。
三千余の乗組員は、どのような気持ちで片道だけの燃料を積んだ(諸説あり)水上特攻に向かっていったのか。あますことなく綴った貴重な記録。解説は呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)長の軍事史家・戸高一成さんです。
冨永謙吾『大本営発表の真相史 元報道部員の証言』(5月25日刊)
こちらは、大本営軍事報道部員として、昭和15年から19年まで軍事報道に携わった元海軍中佐の手記。47年ぶりの復刊です。
今なお、「虚報の代名詞」として「非難と嘲笑」を受け続ける大本営発表。なぜ日本軍部は「フェイク・ニュース」を流すようになったのか、その舞台裏を、戦後蒐集した豊富な史料を用い、太平洋戦争における米軍の公式発表と比較しながら、探っていきます。
解説は『たのしいプロパガンダ』『大本営発表 改竄・隠蔽・捏造の太平洋戦争』等の著書で知られる辻田真佐憲さんです。